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オン資加算の認知度、マイナ保険証での受診経験者で7割

厚労省が2,000人規模のネット調査結果を公表

厚生労働省は6月21日の中央社会保険医療協議会・総会に、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」に関するインターネット調査の結果を報告した。それによると、加算の認知度やマイナ保険証利用のほうが通常の保険証利用よりも患者負担(加算点数)が低くなることの認知度は、直近3カ月以内にマイナ保険証での受診歴が有る人のほうが無い人よりも高かった。

調査客体は、直近3カ月以内にマイナ保険証での受診歴が有る人と無い人、各1,000人。年齢による偏りが生じないよう、調査客体は年代を人口分布に応じて割り付け、抽出した。

「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」は、オンライン資格確認導入医療機関・薬局における診療・調剤時の評価。今年4月から12月末までの間はオンライン資格確認とマイナ保険証の普及促進のため、通常の保険証利用の場合の算定点数を一時的に引き上げ、患者負担をより重くする特例措置が実施されている。

調査結果をみると、マイナ保険証に対応した医療機関等(薬局含む)で加算が算定されることを知っていた割合は、直近3カ月以内にマイナ保険証での受診歴が有る場合が約6割、無い場合が約4割。マイナ保険証を利用すると加算点数(患者負担)が低くなることを知っていたのは、受診歴有が約7割、受診歴無が約4割と、いずれも受診歴有のほうが受診歴無よりも、認知度が高かった(資料1)(資料2)。

(資料1)問1 医療情報・システム基盤整備体制充実加算の認知度
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第547回 6/21)《厚生労働省》
(資料2)問2 医療情報・システム基盤整備体制充実加算の点数差の認知度
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第547回 6/21)《厚生労働省》

出典:中央社会保険医療協議会 総会(第547回 6/21)《厚生労働省》





マイナ保険証での受診のメリット認知度は2~3割程度

問診票の記載の手間が減る、重複投薬を回避できるといったマイナ保険証利用の各種メリットの認知度は概ね2~3割程度で、やはり受診歴有のほうが受診歴無よりも高い。そこで、受診歴有グループに受診して実感したメリットを重ねて聞いたところ、各項目の選択割合は総じて10%台前半だった。さらにこれらの回答について、メリットを認知していた人といなかった人に分けた比較分析を行った。その結果、「問診票に記載する内容が少なくなり手間が減った」の項目はメリットを認知していた人のほうが認知していなかった人に比べて実感割合が顕著に高かったが、それ以外の項目では両グループの間に大きな差は認められなかった(資料3)。

(資料3)問4 マイナンバーカード健康保険証のメリットの認知度
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第547回 6/21)《厚生労働省》
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第547回 6/21)《厚生労働省》

このため厚労省は、「メリットを認知していなくても、いざ使ってみるとメリットを実感していることが見て取れるのではないか」との見解を示している。なお、調査結果は、今後実施される22年度改定の効果検証に関する特別調査とともに、次期改定について議論する際の基礎資料として活用される。





マイナ保険証によるトラブルへの対応案を了承

さらに、社会保障審議会・医療保険部会は6月29日、マイナ保険証でオンライン資格確認ができない事例が発生している問題で、厚生労働省がまとめた対応案を了承した。「被保険者資格申立書」を提出すれば患者の窓口での支払額が本来の自己負担分のみで済む仕組みや、資格情報不詳のままでも医療機関等がレセプト請求できる仕組みを新たに構築する。厚労省はこれらの取扱を遅くとも8月診療分から開始できるよう、必要な準備や関係者への周知を図りたいとしている(資料4)。

(資料4)マイナンバーカードでオンライン資格確認ができない場合の対応
出典:社会保障審議会医療保険部会(第165回 6/29)《厚生労働省》
出典:社会保障審議会医療保険部会(第165回 6/29)《厚生労働省》

対象になるのは、▽転職等をした場合で新しい保険証は発行済みだが、システムへのデータ登録が完了していないために資格確認を行うと、「資格(無効)」、「資格情報なし」と表示される、▽医療機関側の機器不良のトラブル-などでマイナ保険証によるオンライン資格確認ができないケース。マイナ保険証を巡っては、被保険者資格の確認ができなかったために患者が医療機関窓口で医療費全額(10割)の負担を求められるトラブルが発生しており、こうした事態の回避を目指す。





「被保険者資格申立書」の記入・提出で10割負担を回避

対応策によると、マイナ保険証で資格確認ができなかった場合にはまず、▽患者自身のスマートフォンで表示したマイナポータルの資格情報画面▽患者が持参した保険証-のいずれかで資格確認を行う。これらの方法で資格確認できない場合は、患者自身に「被保険者資格申立書」(保険証や保険者、一部負担割合などに関する情報を記載)を記入・提出してもらうことで、窓口での支払いは本来の自己負担分だけで済むようにする。

医療機関等によるレセプト請求に関しては、過去の資格情報(保険者番号や被保険者番号)や資格情報不詳のままでの請求を可能とする仕組みづくりを急ぐ。請求を受け、審査支払機関は直近の保険者の特定に努めるが、最終的に特定できなかった場合は災害時などの取扱を参考に、保険者間で負担を按分する仕組みも導入する(資料5)。

(資料5)被保険者資格申立書(案)
出典:社会保障審議会医療保険部会(第165回 6/29)《厚生労働省》
出典:社会保障審議会医療保険部会(第165回 6/29)《厚生労働省》




誤った診療情報の紐付けがないか、受付時・診療時の確認徹底を要請

一方、マイナ保険証に誤って別人の情報が紐付けされている問題への対応では、医療機関等に本人確認の徹底を求める。

オンライン資格確認で閲覧した薬剤情報等を診療や調剤に活用する際には、問診やお薬手帳で得た情報を診療等に活用する場合と同じように、本人確認や薬剤の服用状況、併用禁忌等を確認することを要請。受付窓口では、オンライン資格確認時に表示された情報と、▽診療申込書や問診票(薬局は初回質問票)に記入された患者情報(漢字氏名、カナ氏名、性別、生年月日、住所)▽再診・再来局の患者の場合は医療機関・薬局で保有する患者情報(診療録、調剤録、医療保険請求に関する情報等)-との照合確認を行うよう求める。

(2023年7月5日時点の情報に基づき作成)



参考情報
厚生労働省 第547回中央社会保険医療協議会 総会 資料




厚生労働省 第165回社会保障審議会医療保険部会 資料



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