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後発品企業の産業構造改革で厚労省検討会が報告書

5年程度の集中改革期間設け、できるものから迅速に着手を

厚生労働省の「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」は5月22日、報告書をまとめた。「製造管理・品質管理体制の確保」、「安定供給能力の確保」、「持続可能な産業構造の実現」を今後の目標として提示。5年程度の集中改革期間を設定し、実施できるものから迅速に着手しつつ、供給不安の早期の解消と再発防止を確実に実施することを求めた(資料1)。

(資料1)後発医薬品産業の在るべき姿
出典:後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会 報告書の公表について(5/22)《厚生労働省》を編集
出典:後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会
報告書の公表について(5/22)《厚生労働省》を編集

製造管理・品質管理体制の確保のための対応策では、日本ジェネリック製薬協会の非会員企業を含む、全ての後発医薬品企業を対象に2024年4月から始まった一斉自主点検について、点検結果の公表や所管都道府県・厚労省への確実な報告を要請。法遵守を含む各企業のガバナンスの強化や人材育成の推進、高リスク製造所への無通告立入検査の開始などをはじめとする薬事監視の向上も提言した。





有事にも速やかに対応可能な「安定供給確保マネジメントシステム」を構築

安定供給能力の確保では、国が平時から医薬品全般の需給状況をモニタリングし、新興感染症の発生のような有事には需給変動への対応措置を速やかに講じることができる「安定供給確保マネジメントシステム」の構築を提言。「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」などにおいて、具体策の検討を進めるよう促した(資料2)。

(資料2)安定供給能力の確保
出典:後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会 報告書の公表について(5/22)《厚生労働省》を編集
出典:後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会
報告書の公表について(5/22)《厚生労働省》を編集

持続可能な産業構造の実現では、少量多品目生産の適正化など生産効率向上のための方策として、▽製造方法等の変更に関する薬事手続きの簡素化▽既収載品目が市場から撤退する際の薬価削除プロセスの明確化・簡素化▽薬価収載にあたって先発医薬品の規格を全て揃えなければならない、規格揃え原則の合理化▽品目統合の加速化を見据えた、企業間の生産数量等の調整に関する独占禁止法との関係の整理-などを提言。

安定供給などに関する企業努力を可視化する取り組みとして、企業情報公表の仕組み創設と企業情報の薬価制度への活用を提案した。このうち薬価制度への活用に関しては、24年度薬価制度改革に基づき、4月から企業の安定供給体制等を評価した結果を薬価に反映させる仕組みの試行的導入が始まっている。





企業統合などの大規模化による生産効率・収益性の向上も提言

また、今後、大幅な市場拡大が見込めない中で、ビジネスモデルを転換し、シェアの拡大や品目数の適正化による生産効率の向上や収益性を高めていくためには、「ある程度大規模での生産・品質管理体制の構築も有効な選択肢だ」と指摘。企業間の連携・協力や役割分担、コンソーシアムや企業統合などの検討を求めた。こうした企業の取り組みを国が後押しする施策として、▽金融・財政措置等による支援▽独占禁止法に抵触しない企業間連携の具体的事例について事例集等を作成▽独占禁止法上の懸念への相談や公正取引委員会への相談等をサポートする相談窓口の設置-なども併せて提言した。

(2024年5月28日時点の情報に基づき作成)



参考情報
厚生労働省 後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会 報告書の公表について

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