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長期収載品の選定療養化で疑義解釈の第2弾 厚労省

生活保護受給者における取り扱いなどを解説

2024年10月から始まる長期収載品(後発医薬品のある先発医薬品)の使用の選定療養化で、厚生労働省は8月21日、疑義解釈資料の第2弾を作成し、地方厚生局などに事務連絡した。制度施行前に発行された処方箋の取扱いや、公費負担医療における対応などを中心に解説した。

24年10月から▽後発医薬品の上市から5年以上経過▽5年未満であっても後発医薬品への置換え率が5割以上-のいずれかに該当する長期収載品の使用は選定療養の対象になる。その場合、患者は長期収載品の薬価と後発医薬品の最高価格帯との価格差の1/4に相当する額を追加負担として支払う(追加負担分にかかる消費税の支払いも生じる)。

ただし、医療上の必要性が認められる場合は除外対象となる。このため処方箋様式を見直し、▽医師が医療上必要と判断して処方箋の「変更不可(医療上必要)」欄にチェック等を入れた場合は長期収載品の処方であっても保険給付対象▽患者の希望で長期収載品を処方し、「患者希望」欄にチェックを入れた場合は選定療養の対象-などとする取扱いが示されている。

新たな処方箋様式の記載方法について疑義解釈は、「変更不可(医療上必要)」欄にチェック等を入れた場合は、「患者希望」欄には何も記載することがないよう、医療機関に注意を喚起。仮に薬局が両方に記載がある処方箋を受け付けた場合には、処方医師に疑義照会を行うことを求めた。

10月1日以前に処方された長期収載品であって制度施行後に保険薬局に処方箋が持ち込まれた際には、それが2回目以降の調剤のためのリフィル処方箋や分割指示のある処方箋であっても制度施行前の取扱いが適用され、保険給付の対象になることも示した。

生活保護受給者で患者の嗜好による長期収載品の処方・調剤は不可

生活保護受給者の対応では、長期入院選定療養以外の選定療養は医療扶助の支給対象とはならないため、患者の希望による長期収載品の処方・調剤は一切認められないことを明記。長期収載品の使用が医療扶助の支給対象になるのは医療上の必要性がある場合のみで、患者が単にその嗜好から長期収載品を希望した場合については、後発医薬品を処方・調剤する必要があることを示した。このため、生活保護受給者における長期収載品の使用で特別の料金(患者の追加負担)が生じることはない。











電子処方箋の導入率、病院1.84%、診療所3.90%

政府目標の実現に向け早期対応を 厚労省が要請

厚生労働省は8月9日のマイナ保険証の利用促進に関するオンラインセミナーに、電子処方箋の導入状況を報告した。それによるとオンライン資格確認システム導入施設に占める電子処方箋運用開始施設の割合は8月4日時点で、13.36%。施設種類別で最も導入が進んでいる薬局の導入率は4割を超えるが、医科の病院、診療所は約2~4%にとどまる。政府は概ね全ての医療機関・薬局への24年度中の導入を目標に掲げており、厚労省は補助金などの活用による早期対応を呼びかけた。

施設別の電子処方箋導入率は、▽病院・1.84%▽医科診療所・3.90%▽歯科診療所・0.21%▽薬局・41.11%-だった。

2024年度診療報酬改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」は、政府目標の達成期限後の25年4月から電子処方箋の導入が施設基準に追加され、未導入の場合は算定できなくなる。24年10月には、マイナ保険証の利用率が10%以上の医療機関・薬局における加算の評価が現行よりも引き上げられることから、厚労省は電子処方箋の導入に際して加算財源や補助金を上手に活用するよう促した。

補助金は、社会保険診療報酬支払基金を申請先とする既存の仕組みのほかに、都道府県による助成を行うための財源を23年度補正予算で確保したと説明した。現時点で実施が決まっているのは、青森県、秋田県、山形県、福島県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、富山県、長野県、愛知県、三重県、大阪府、広島県、山口県、福岡県、熊本県-の18都府県。今後も増える予定で、対象地域にある施設では支払基金の補助金と都道府県の助成金を併せて受給でき、導入費用に対する財政支援の割合は最大で病院と大型チェーン薬局が1/2、診療所・薬局が3/4になる見込み(資料1)。

(資料1)電子処方箋導入費用の補助
電子処方箋の導入費用の負担軽減について

出典:厚生労働省 デジタル庁と共同開催!医療機関・薬局向け マイナ保険証利用促進セミナー
「【資料3】電子処方箋について」を編集

診察券等とマイナ保険証の一体化のためのレセコン改修を支援 デジタル庁

一方、デジタル庁は同日のセミナーで、診察券や医療費助成の受給者証をマイナ保険証と一体化するためのレセコン改修費用等の補助金制度について説明した。マイナ保険証1枚での受診を可能とする患者の利便性の向上と医療機関窓口の事務負担軽減が一体化の目的。診察券との一体化の補助上限額は、診療所が5.4万円、病院は再来受付機等の改修の有無やマイナ保険証の月の利用総件数などの条件に応じて28.3万円~60.0万円(資料2)。

(資料2)補助内容のご案内
マイナンバーカードの診察券利用について

出典:厚生労働省 デジタル庁と共同開催!医療機関・薬局向け マイナ保険証利用促進セミナー
「【資料2】医療費助成の受給者証・診察券とマイナンバーカードの一体化の実現方策・補助金について」を編集

医療費助成受給者証との一体化は、事業の参加自治体に所在する施設のみが対象となる。現時点では都道府県20団体、市町村136団体の参加が予定されており、自治体名や受給者証の種類はデジタル庁のホームページで確認できる。補助上限額は診療所と薬局が5.4万円、大型チェーン薬局が3.6万円、病院が28.3万円。診療所と病院で診察券の一体化も行う場合は、両方の改修費用等を合算した上で、診察券と一体化した場合の上限額が適用される(資料3)。

(資料3)補助内容のご案内
医療費助成受給者証、診察券それぞれをマイナンバーカードと一体化するためのレセコン・再来受付機の改修に対する補助金制度について

出典:厚生労働省 デジタル庁と共同開催!医療機関・薬局向け マイナ保険証利用促進セミナー
「【資料2】医療費助成の受給者証・診察券とマイナンバーカードの一体化の実現方策・補助金について」を編集

このため、例えば診療所が両方実施した場合も上限額は5.4万円となり、倍の10.8万円を受け取れるわけではない点に注意が必要。改修完了後に領収書などの必要書類を用意して医療機関等向け総合ポータルサイトから申請する。申請期限は25年1月15日。

(2024年9月2日時点の情報に基づき作成)



参考情報
厚生労働省 後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について

詳しくはこちら






厚生労働省 オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)

詳しくはこちら






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