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電子処方箋の普及、医療機関の導入促進が課題 厚労省

薬局は年度内に概ね導入を完了の見通し

2024年9月1日現在の電子処方箋の導入率は薬局が44.6%であるのに対して、病院は1.9%、医科診療所は4.5%と依然として低水準であることがわかった。厚生労働省が9月11日の「第3回電子処方箋推進会議」に報告した。2024年度診療報酬改定で創設された「医療DX推進体制整備加算」では、10月からのマイナ保険証利用率に続き、25年4月からは電子処方箋の導入が施設基準に追加され、未導入の場合は算定できなくなる。システム改修などの導入準備には半年程度要することから、厚労省は様々な支援策を講じて医療機関に早期対応を求めていく考え。

電子処方箋システムは、医療機関が発行した電子処方箋や薬局の調剤結果情報を電子処方箋管理サービスに登録することにより、関係者間での患者の薬剤情報のリアルタイムでの共有・活用を可能にする仕組み。患者が受診・利用する医療機関・薬局の双方が電子処方箋に対応していることが理想的だが、仮に医療機関が未対応で紙の処方箋が発行された場合であっても、薬局側で調剤結果情報の登録が行われれば薬剤情報の共有・活用は可能になる(資料1)。

(資料1)電子処方箋システムによる薬剤情報の拡充
(資料1)電子処方箋システムによる薬剤情報の拡充

出典:電子処方箋推進会議(第3回 9/11)《厚生労働省》を編集

調剤結果情報の登録加速で年度末には服薬情報の大宗が登録される状況に

実際、電子処方箋導入済みの薬局では紙で受け付けた処方箋分も含め、調剤結果情報のサービスへの登録が進んでおり、24年8月単月の調剤結果情報登録数は約2,500万件、これまでの累計登録数は1.9億件を超える。薬局については現在のペースで電子処方箋の普及が進めば、年度内には概ね全ての薬局への導入が完了する見通し。調剤結果情報のサービスへの登録数も導入薬局の拡大に伴う増加が見込まれ、厚労省は「年度末には患者の服薬情報の大宗が登録される状況になる」と期待している。

しかしながら、服薬情報をリアルタイムで共有できる環境が整っていても、薬局とともにそれを活用する医療機関への電子処方箋導入が進まなければ意味がない。このため厚労省は医療機関の導入支援策を一層充実していく考えで、導入費用に対しては都道府県による追加助成の仕組みを創設。すでに半数を超える都道府県での実施が決まっており、国による既存の補助金と合わせて受け取ることで導入費用に対する財政支援の割合は病院と大型チェーン薬局が最大1/2、診療所・薬局が最大3/4になると説明している(資料2)。

(資料2)導入補助金の拡充
(資料2)導入補助金の拡充

出典:電子処方箋推進会議(第3回 9/11)《厚生労働省》を編集











マイナ保険証利用率低い施設に個別アプローチへ 厚労省

事情を確認し、必要に応じて支援も

社会保障審議会・医療保険部会は8月30日、マイナ保険証のさらなる利用促進に向けて厚生労働省が提示した取り組み案を了承した。マイナ保険証の利用実績が著しく低い医療機関・薬局に対して地方厚生局が個別に事情を確認するなどの個別アプローチを実施。必要に応じて支援も行う。

現時点で個別アプローチの対象になる施設の基準は明らかになっていないが、10月の見直し後の「医療DX推進体制整備加算」において最も評価が低い「加算3」のマイナ保険証利用率要件(5%)を満たしているかどうかが一つの目安になると思われる。個別アプローチの対象医療機関・薬局には、対象になることをメール等で事前に周知する。

同日の部会には、2024年5~7月を対象に実施したマイナ保険証利利用促進集中取り組み月間の結果も報告された。集中取り組み期間は、▽共通ポスターの掲示▽来院患者への声掛け▽チラシの配布-を要件とした一時金の支給対象期間にもなっていた(支給対象期間は8月まで延長)。

この間にオンライン請求を実施している全施設(歯科医療機関、薬局含む)を対象に行ったアンケート調査によると、一時金の要件の3つの取り組みを全て実施している施設の割合は24年5月の5.0%が、同年7月には約8倍の39.1%へと増加。特に薬局の積極的な取り組みが目立ち、取り組み未実施薬局の割合は7月時点で3.1%にまで減少している(資料3)。

(資料3)マイナ保険証利用促進集中取組月間における取組について
(資料3)マイナ保険証利用促進集中取組月間における取組について

出典:社会保障審議会 医療保険部会(第181回 8/30)《厚生労働省》を編集

オンライン資格確認件数ベースのマイナ保険証利用率も24年4月の6.56%から、▽5月・7.73%▽6月・9.90%▽7月・11.13%-と伸びてきており、厚労省は「医療機関・薬局におけるマイナ保険証利用促進に関する取り組みが、4月以降の利用率向上に寄与していると考えられる」と評価している。

カードリーダー増設支援等の実績対象期間を11月まで再延長

また、マイナ保険証利用件数が多い医療機関・薬局を対象にした顔認証付きカードリーダーの増設支援とマイナ保険証と診察券等の一体化に関する補助金(デジタル庁所管)の要件見直しについての報告もあった。いずれも23年10月から24年8月までのいずれかの月のマイナ保険証の月間利用総件数が500件以上であることを要件としていたが、実績対象期間を健康保険証新規発行停止直前の11月まで延長する(資料4)(資料5)。

(資料4)マイナ保険証利用促進のための医療機関等への支援について
(資料4)マイナ保険証利用促進のための医療機関等への支援について
(資料5)医療費助成の受給者証・診察券とマイナンバーカードの一体化に係るデジタル庁補助金の要件見直し
(資料5)医療費助成の受給者証・診察券とマイナンバーカードの一体化に係るデジタル庁補助金の要件見直し

出典:社会保障審議会医療保険部会(第181回 8/30)《厚生労働省》を編集

(2024年10月1日時点の情報に基づき作成)



参考情報
厚生労働省 第3回電子処方箋推進会議

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厚生労働省 第181回社会保障審議会医療保険部会

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