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薬局・薬剤師機能 「地域連携薬局」は要件・名称の見直し、「健康サポート薬局」は法制化を

厚生労働省は、地域における薬局の役割・位置付けをあらためて整理した。健康サポート薬局、認定薬局について、患者等が利用するだけでなく、医療関係者が連携する薬局を選定する際にも有用な制度となるよう明確化を図っている。





健サポ・地域連携薬局は位置付けが曖昧

「健康サポート薬局」(2016年4月)と「地域連携薬局/専門医療機関連携薬局」(認定薬局、2021年8月)は、患者が自身に適した機能を有する薬局を主体的に選択できるよう、一定の機能を有する薬局が表示または名称を使用できる制度として導入されている。しかし、あまり認知されておらず、利用者にどのようなメリットがあるのか不明確であり、薬局側には名称を使用(表示)できる以外のインセンティブもないことから、十分に活用されていない状況にある。特に、健康サポート薬局、地域連携薬局については、在宅対応を含むかかりつけ薬剤師・薬局としての機能など共通している部分もあり、地域のなかでの位置付けや違いが分かりにくいとの指摘もある。そうした現状を踏まえ、厚労省の検討会は、地域における薬局の役割・機能を整理したうえで、地域連携薬局、健康サポート薬局の役割・機能のあり方について議論を重ね、とりまとめを行っている。





夜間・在宅対応等は地域の実情に応じて

とりまとめでは、まず「地域における薬局の役割・機能」を▽医療関係者等との連携による地域の住民の薬物治療(外来・在宅医療)の提供▽医薬品の適正使用の推進など公衆衛生の向上・増進▽セルフケア・セルフメディケーションの啓発・推進など、地域住民の健康維持・増進の取り組み等の支援-などと整理。医療資源が限られるなか、すべての機能を個々の薬局が持つことは困難である場合もあるとし、薬局間の連携等により「地域・拠点で必要な機能」を確保していくことも必要とした。特に、夜間・休日対応や在宅対応などの機能については、今後、地域における医療計画等を踏まえ、薬局を含む関係機関が連携して地域の実情に応じた体制構築を進めていくことを求めている。そのうえで、それらの機能を担う薬局として地域連携薬局を位置付け(資料1)、地域において求められる役割を果たすことができるよう、制度(要件、名称等)を見直す必要があることを指摘している。

(資料1)地域連携薬局の機能・役割について
(これまでの意見を踏まえた修正案)
(資料1)地域連携薬局の機能・役割について(これまでの意見を踏まえた修正案)

出典:薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会(第8回 8/21)《厚生労働省》を編集

一方、健康サポート薬局については、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する機能を有する薬局であるとし、地域・拠点で確保すべき機能に「関係機関との連携による健康・介護相談対応等」を挙げた。具体的に、行政や地域包括支援センター、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所等の関係機関、地域の医師会、薬剤師会等の関係団体と連携した対応を求め、その質を確保していくための仕組み(認定制度など)を法令に規定し、名称独占についても法令上明確化することが必要としている。





専門医療機関連携薬局の現状

さらに12月16日に開催された「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」では、専門医療機関連携薬局について、今後専門的な医療機関や学会で専門薬剤師の認定が行われている「HIV」、「小児(疾病)」について検討し、関係者へのヒアリングを実施してはとの議論が行われた。専門医療機関連携薬局は、傷病の区分として定められているのは「がん」のみであり、この薬局では、麻薬応需医療機関数や麻薬加算の算定実績が全体の薬局と比較して多い。また、無菌調剤室等の設備の設置は要件として求められていないものの、他の薬局より設置率が高く、無菌製剤処理に関する相談や依頼を受ける頻度も高い。さらに、専門医療機関連携薬局は、特定の傷病区分において、学会認定などを受けた専門薬剤師が地域の他の医療提供施設と連携し、専門性を発揮して適切な調剤や指導を実施できるとの意見が示された(資料2)。

(資料2)特定の機能を有する薬局の認定
(資料2)特定の機能を有する薬局の認定

出典:薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会(第11回 12/16)《厚生労働省》を編集





敷地内薬局に関する調査結果と課題

同検討会では、敷地内薬局を対象としたアンケート結果も報告された。この調査では、全国220店舗の敷地内薬局から回答が得られ、敷地内薬局の約半数(48.2%)が医療機関との間で不動産の賃貸借関係を有することが明らかとなった。賃貸料の具体的な金額を回答した37店舗のうち、月額100万円以上が11店舗と、一部で高額な事例が確認された。一方で、賃貸料が10万円以下と比較的低額な薬局も11店舗存在することが報告された(資料3)。

(資料3)薬局の開設について-不動産取引その他の特別な関係について
(資料3)薬局の開設について-不動産取引その他の特別な関係について

出典:薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会(第11回 12/16)《厚生労働省》を編集

一部の公募型プロポーザルでは、薬局設置の要件として、医療機関に隣接する施設の整備が含まれる場合があり、コンビニエンスストアやカフェなどの整備のほか、医療機関の開設者(大学等)の施設(会議室等)を整備することが求められる事例も確認された。こうした現状について、検討会の構成員からは「利益供与とみなされる可能性がある」との懸念が示された。厚生労働省は今後も有識者の意見を参考に、敷地内薬局を含む地域薬局のあるべき姿について継続的に検討を進めていく方針である。

(2024年12月18日時点の情報に基づき作成)



参考情報
厚生労働省 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会

詳しくはこちら



第8回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会





第11回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会





  • ※上記内容は確定事項ではなく、今後の議論で修正や見送りになる可能性がある点にご留意ください。

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