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2025/4/25 17:00
在宅医療における薬剤提供体制の構築・強化を提言 厚労省・検討会
行政を含む関係者による協議で地域に応じた対応策の検討を
厚生労働省は、地域における薬局・薬剤師の在り方を見直し、医療提供体制の変化や地域包括ケアシステムの推進に対応するため、2023年から「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」を開催してきた。これまでの議論では、対物業務から対人業務への転換、薬剤師の専門性を活かした多職種連携の推進、さらには地域におけるかかりつけ機能の強化といった観点から、薬局・薬剤師に求められる役割の再定義が進められている。
また、医療の地域差や在宅医療の重要性が増す中で、薬剤提供体制の整備や、薬局薬剤師がより主体的に地域医療に関与できる仕組みづくりが喫緊の課題として挙げられてきた。こうした背景のもと、今回の議論のとりまとめでは、特に在宅医療における薬剤提供体制の構築・強化について重点的に提言されることになった。
そして3月31日、「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」は、在宅医療における薬剤提供のあり方に関する「これまでの議論のまとめ」を公表した。在宅患者が必要な薬剤を入手できない事態が生じることのないよう、地域ごとに行政を含む関係職種が連携を深めながら夜間・休日対応を含む在宅医療における薬剤提供体制を構築・強化していく必要性を説いた。
在宅医療において薬物療法の重要性は高く、医薬品の適正使用や薬物療法の質向上の観点からも薬局薬剤師がその職能を活かしつつ、医療機関、訪問看護ステーション等とともにチーム医療として在宅医療を提供していくことが求められる。しかしながら実際には、訪問看護師の訪問時に患者が必要な薬剤を入手できていない場合がある、夜間・休日などを中心に薬剤の投与に必要な医師の指示が得られない、指示が得られても処方箋が円滑に発行されない-といった課題があることが明らかになっている。
また、在宅医療ニーズや医療提供体制の違いによって各地域が抱える課題は異なってくることから、議論のまとめは、地域単位で行政を含めた関係者が協議し、地域の実情を踏まえた対応を検討・実施する必要があると指摘。その上で、在宅医療における薬剤提供体制の構築・強化のための方策例として、▽地域の在宅医療における薬剤提供体制の実態の継続的な把握▽個別患者への対応で薬剤提供に課題が生じた場合の地域レベルでの対応策をあらかじめ決定・周知▽地域における在宅医療等に関する協議等への薬局薬剤師の参加▽薬局間連携体制の構築(医薬品の融通、輪番体制の構築等)▽多職種で共有すべき情報や共有方法を整理し、あらかじめ地域の関係者で共有-などを挙げた。
これら都道府県・地域レベルでの取り組みに加え、個別の在宅患者レベルで生じた課題への対応策として、▽あらかじめ休日や夜間に急な対応が必要になった場合の連絡方法・対応方法を協議しておく▽通常対応している薬局が対応できない場合に臨時的な対応ができる薬局との連携体制の確保▽あらかじめ処方・調剤した薬剤を患者宅に配置する-ことなども提案した。
今後、厚労省内で提言を踏まえた具体策の検討が進められる見込み。
出典:薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会(第10回 10/16)《厚生労働省》を編集
(2025年3月31日時点の情報に基づき作成)
参考情報
厚生労働省 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会
「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」の「これまでの議論のまとめ」
第10回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会 資料
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