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「後発医薬品使用体制加算」等の存廃で各側が対立 中医協・総会
診療側は医薬品供給不安による現場の負担を理由に評価継続を要望





中央社会保険医療協議会・総会は10月17日、後発医薬品やバイオ後続品の使用促進などについて議論した。この中で支払側は「後発医薬品使用体制加算」等の廃止を提案したが、診療側は、今も続く医薬品の供給不安によって後発医薬品の処方・調剤に伴う現場の負担は増していると反論し、評価の継続を強く求めた。

後発医薬品の関係では、後発医薬品の使用割合が病院82.0%、診療所66.5%(いずれも平均値)、調剤薬局では9割を超えたことを踏まえた後発医薬品提供体制の評価のあり方が論点として提示された。

支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、薬局の評価である「後発医薬品調剤体制加算」について、「インセンティブの役割は終えたので廃止し、例えば『地域支援体制加算』に後発医薬品割合やカットオフ値を設定し、基準を満たさない場合は減算する仕組みに移行すべきだ」と主張。これに準じる形で医療機関の評価である「後発医薬品使用体制加算」等も、廃止と減算措置の導入を検討するよう求めた。

これに対して診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、医薬品の供給不安が続く中で後発医薬品の処方に伴う医療機関の負担は増えているとし、「後発医薬品の使用割合を高めていくためにもしっかりとした診療報酬での評価は欠かせない」と評価継続を要望。森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、後発医薬品の使用割合が上昇しても薬局の業務負担が軽減されるわけではないことを強調、「安定した医薬品の提供のために対応している現場の努力を押せるような視点が重要だ」と述べた。





患者の希望による先行バイオ医薬品使用の選定療養化を提案 支払側

バイオ後続品の関係では、▽バイオ後続品の使用促進の観点からの診療報酬上の評価▽「保険医療機関及び保険医療養担当規則」(療担規則)と「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」(薬担規則)にバイオ後続品の使用促進に関する記載を追加することの是非―が論点となった。

診療報酬上の評価では診療側の江澤委員が、バイオ後続品の使用割合が一定水準以上であることを求める「バイオ後続品使用体制加算」について、「バイオ後続品を最初から使用するか、途中で切り替えるかどうかは患者それぞれの意向もあり、医療機関単位での先行品か後続品かの選択は難しいため、手直しが必要だ」と指摘。森委員は、薬局におけるバイオ後続品の在庫負担や廃棄リスクに対する手当てを求めた。

こうした要望に支払側の松本委員は、「『後発医薬品使用体制加算』などの適正化とセットでバイオ後続品への対応を充実するのであれば異論はない」と表明。その上で、バイオ後続品が一定程度普及している先行バイオ医薬品を患者希望で使用する場合を選定療養の対象にすることを提案した。





ポリファーシー対策の評価は減薬の取り組みだけでなく質も重視へ

この日はポリファーマシー対策についても議論し、現行の服用薬剤数の削減に着目した評価だけでなく、ポリファーマシー対策の着実な実施を担保する質の評価を重視していく方向で概ね一致した。関連課題として支払側の松本委員は、重複投薬等の自動チェック機能を備えた電子処方箋の薬局への普及が進んでいることから、「重複投薬・相互作用等防止加算」を見直すべきだと提案。これに森委員は、当該加算は薬局薬剤師が電子処方箋等から明らかになった情報を薬学的に判断し、医師に疑義照会した結果、処方変更につながった場合の技術料評価であり、単に情報収集することを評価するものではないと反論した。

(2025年10月17日時点の情報に基づき作成)



参考情報
厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第621回)

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