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調剤報酬改定に関する2巡目の議論 中医協・総会





処方箋600枚超の「調剤基本料1」薬局は効率的に「後発医薬品調剤体制加算3」を算定

中央社会保険医療協議会・総会は11月28日、調剤報酬について議論した。特に「調剤基本料」の見直しでは、「調剤基本料1」を算定する処方箋受付回数600回超、処方箋集中率85%以上の薬局の取り扱いが争点の一つとなった。

「調剤基本料」の関係では厚生労働省が、▽「調剤基本料1」を算定する処方箋受付回数600回超の薬局では、処方箋集中率が高いほど備蓄品目が少ないにもかかわらず、「後発医薬品調剤体制加算3」を算定している(つまり低コストで高評価の加算を算定している)▽特別区で処方箋受付回数600回超、処方箋集中率85%以上で「調剤基本料1」を算定している薬局は特別区の薬局全体に比べて「地域支援体制加算」や「在宅薬学総合体制加算」の届出割合が低く、薬局として提供することが望ましい機能が限定されている―などの実態について、データを交えながら説明した(資料1)(資料2)。

(資料1)処方箋集中率が高い調剤基本料1算定薬局の現状
(資料1)処方箋集中率が高い調剤基本料1算定薬局の現状

出典:中央社会保険医療協議会 総会(第631回 11/28)《厚生労働省》を編集




(資料2)特別区における薬局の実態
(資料2)特別区における薬局の実態

出典:中央社会保険医療協議会 総会(第631回 11/28)《厚生労働省》を編集



これを受け松本真人委員は、「大都市のこうした薬局は経営の効率性が高く、機能が限定的であるので現在の小規模薬局の乱立を是正するためにも『調剤基本料1』の対象から除外すべきだ」と主張。森昌平委員は、処方箋受付回数600回超の「調剤基本料1」算定薬局であっても、1,800回以下の中小規模薬局は1,800回以上の薬局に比べて損益率や損益差額が低いことに言及し、「中小の薬局は経営基盤が脆弱であり、これまでの方針を踏襲し、『調剤基本料1』を原則として処方箋受付回数の多い薬局などに関する対応を検討すべきだ」との見解を示した。





医療DXの進展踏まえた「重複投薬・相互作用等防止加算」の適正化も論点に

「調剤管理料」関係では、▽ポリファーマシー対策に逆行するとの指摘がある「調剤管理加算」の取り扱い▽医療DXの進展で重複投薬や相互作用の機械的な検出が可能となる一方、検出された重複投薬や相互作用について薬学的疑義照会の手間がかかることを踏まえた「重複投薬・相互作用等防止加算」のあり方―などが論点として提示された。

「調剤管理加算」について松本委員は「ポリファーマシーを阻害していないことが明確に示されていないので廃止すべきだ」と主張。「重複投薬・相互作用等防止加算」についても「機械的なチェックによる手間の減少を踏まえた評価の適正化や加算の位置付けを改めて明確にすべきだ」としたが、森委員は、現行システムでは類似薬の重複投与や相互作用は検出されず、重複投薬などのチェックはOTC医薬品やサプリメントなどについても実施する必要があるなどと説明し、評価の適正化に異議を唱えた。





「特別調剤基本料A」の今後

24年度改定では敷地内薬局を対象にした「特別調剤基本料A」が新設された。その際、改定前から存在する医療モール内の薬局への配慮から、「ただし、当該保険薬局の所在する建物内に診療所が所在している場合を除く」とする除外規定(ただし書き)が設けられた。ところが昨今、この規定に関する解釈が問題視されており、診療側と支払側の委員から今後の対応について提案があった。

(2025年11月28日時点の情報に基づき作成)



参考情報
厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第631回)

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  • ※上記内容は確定事項ではなく、今後の議論で修正や見送りになる可能性がある点にご留意ください。

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