特集コンテンツ
2026/8/6 10:00
骨太の方針2026など閣議決定 OTC類似薬の見直しや調剤業務外部委託拡充など明記
政府は7月21日、「経済財政運営と改革の基本方針2026」(以下、骨太の方針2026)および「規制改革実施計画」を閣議決定した。薬局に関しては、OTC類似薬の保険給付見直しやバイオ後続品(バイオシミラー)の普及促進、地域フォーミュラリの全国展開、調剤業務の外部委託拡充など、短期・中長期的な政策の方向性が示された。また、これらの内容は7月23日に開催された厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会でも報告され、委員から意見が出された。
骨太の方針2026で医薬品関連の政策の方向性を提示
骨太の方針2026では、医薬品関連の政策について、OTC類似薬の保険給付の見直しを予定どおり実施するとともに、実施状況を踏まえ、2027年度以降は対象医薬品の拡大を検討する方針を示した。また、バイオ後続品の国内生産体制の整備や先行バイオ品の保険給付の在り方の見直しを進める考えだ。
あわせて、医療保険給付の効率化・適正化を図りながら質の高い医療サービスを維持するため、長期処方やリフィル処方箋の活用を進めるほか、地域フォーミュラリの全国展開や休薬・減薬など、より効果的・効率的な治療を推進するとしている。このほか、セルフメディケーション推進の観点から、医薬品・検査薬のスイッチOTC化に向けた実効的な方策を検討し、必要な措置を講じるとした。
出典:内閣府「骨太の方針2026PR資料〜政策ファイル〜」(2026年7月21日)
OTC類似薬の保険給付の見直し対象を具体化
OTC類似薬の保険給付の見直しについては、2026年度中の制度開始に向け、2025年末の大臣折衝で決定した制度の具体化を進める方針を示した。対象は77成分(約1,100品目)で、薬剤費の4分の1を「特別の料金」(以下、別途の負担)として患者に求める仕組みを導入する予定だ。その後、2026年度の実施状況を踏まえ、2027年度以降は対象医薬品の拡大を検討するとしている。
厚生労働省は、2026年度中(2027年3月)の実施に向けて、6月25日に「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会」を立ち上げ、別途の負担を求めない者・求めない療養の範囲について検討を進めている。がん治療中の患者や指定難病の患者、国の公費負担医療制度の助成を受ける療養には別途の負担を求めないことなどについて、すでに合意されている。同検討会では8月頃に中間整理を行い、社会保障審議会医療保険部会や中央社会保険医療協議会(以下、中医協)総会に報告する予定だ。
バイオ後続品の国内生産体制の整備などを着実に進める
「創薬・先端医療イノベーション」の分野では、創薬への官民投資を拡大するとともに、医薬品の安定供給体制の強化を進める方針が示された。具体策として、「バイオ後続品の国内生産体制の整備等を着実に進める」旨と「先行バイオ医薬品について、バイオ後続品の普及促進に向けた環境整備の状況を踏まえ、保険給付の在り方の見直しを検討する」旨が明記された。
また、2027年度薬価改定(中間年改定)についても、創薬イノベーションの推進、安定供給、国民負担の軽減を目的として実施する方針が示された。これを受け、中医協薬価専門部会では7月8日から対象品目の範囲などの議論が始まっており、今後は関係業界へのヒアリングなどが予定されている。また、2027年度薬価改定に向けた2026年度の薬価調査は、これまでの中間年改定と同様の方法で実施することが、同部会で了承された。
地域フォーミュラリの全国展開を継続
地域フォーミュラリは、地域の医師会や薬剤師会などが協働して作成する推奨薬リストで、薬物治療の標準化が促進され、医療の効率化や医療費・薬剤費の削減、残薬やポリファーマシーといった薬物関連の課題解決を目的としている。地域フォーミュラリの全国展開については、2025年の骨太の方針2025に続いて、骨太の方針2026でも継続して盛り込まれた。なお、厚生労働省が2025年5月に行った調査では、12都府県で計18件の地域フォーミュラリが策定されている。
厚生労働省は、2026年3月30日付で、「地域で協働して作成する推奨薬リスト(地域フォーミュラリ)について(協力依頼)」の通知を都道府県などに発出し、2026年度中に各都道府県において「地域フォーミュラリ策定に向けて検討する場」を設けるよう協力依頼した。
通知では、地域フォーミュラリを策定・運用するメリットについて(1)地域医療の質向上、(2)薬剤供給の安定、(3)薬剤費適正化――の3点を挙げている。(1)については、エビデンスに基づく推奨薬の共有による治療方針の均一化や、病院や診療所間の薬剤の継続利用により、地域における医療の質の向上を図る。(2)については、薬効群ごとの推奨薬の集約化により、在庫最適化が容易になり、災害・緊急時も含めた安定供給を目指す。(3)については、推奨薬、特に後発医薬品の使用促進を通じて、患者の自己負担や医療費の適正化、重複投与・残薬の解消につながることが期待されている。
「攻めの予防医療」として健康増進に資する薬局機能を強化
このほか、骨太の方針2026では、「攻めの予防医療と疾病対策」の一環として、地域住民の健康増進に資する薬局機能や薬剤師の役割の強化を掲げた。
「攻めの予防医療と疾病対策」では、健康増進、肥満症を含む疾病予防、早期発見、早期介入および行動変容に関係機関が連携して取り組む方針を示している。具体策として、「地域住民の健康増進に資する薬局機能および薬剤師の果たす役割の強化」が挙げられており、2027年5月20日に施行される改正薬機法に基づく「健康増進支援薬局」の認定制度が関係施策として位置付けられている。
出典:内閣府「骨太の方針2026PR資料〜政策ファイル〜」(2026年7月21日)
「調剤業務の一部外部委託」の対象となる業務が拡大へ
規制改革実施計画では、「医療DXの活用を前提とした調剤業務の外部委託範囲の拡充」が盛り込まれた。具体策として、改正薬機法に基づき規定された一包化調剤の外部委託に加え、さらなる調剤業務の効率化・集約化を進める方針を示した。医療DXの活用を前提に、安全性と調剤責任を確保しながら、一包化を伴わない調剤業務の外部委託や、委託先から患者宅へ医薬品を直送する仕組みについて検討する。これらの実証は国家戦略特区で速やかに開始できるよう、具体的な制度設計を進め、2026年度中に結論を得るとしている。
こうした方針を踏まえ、厚生労働省は7月23日に開催された厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で、2027年5月20日に施行される改正薬機法に基づく「調剤業務の一部外部委託」の対象となる業務について、「一包化」業務に加え、「一包化した薬剤と同一時点での服薬を前提とした他の薬剤との組み合わせ」業務として、具体的には一包化の被包に散剤をテープなどでとめる作業も対象とする方向で検討していることを明らかにした。
出典:令和8年度第1回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会(2026年7月23日)を編集
都道府県をまたぐ委託については今後検討
調剤業務の委託先の範囲について、制度開始時は、同一都道府県内の薬局に限定される。これについては引き続き検討し、改正薬機法施行後2年以内に結論、速やかに措置をすることになっている。
7月23日に開催された厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会では、委託先が限定される理由として、委員が都道府県間の情報共有の仕組みが整備されていないと指摘。情報連携体制の構築を求める意見が出された。これに対し、厚生労働省は、同時期に始まる薬剤師による遠隔管理の下、コンビニなどで医薬品の受け渡しをする「遠隔販売制度」の見直しとあわせて検討する考えを示した。
(2026年7月23日時点の情報に基づき作成)
参考情報
内閣府 経済財政運営と改革の基本方針2026
内閣府 規制改革実施計画
詳しくはこちら厚生労働省 OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会
詳しくはこちら厚生労働省 中央社会保険医療協議会・薬価専門部会(第247回)
詳しくはこちら厚生労働省 地域フォーミュラリについて
詳しくはこちら-
地域で協働して作成する推奨薬リスト(地域フォーミュラリ)について (協力依頼)(令和8年3月30日)
(保連発0330第1号、保医発0330第2号、医政産情企発0330第4号、医薬安発0330第1号)
厚生労働省 令和8年度第1回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会
詳しくはこちら※上記内容は確定事項ではなく、今後の議論で変更や見送りになる可能性がある点をあらかじめご了承ください。
※当サイトの記事・画像等のコンテンツの著作権は、兼松ウェルネス株式会社に帰属します。
※無断での複製、転載、引用、二次利用および他メディアへの転用等は、一切禁じます。