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厚労省、電子処方箋の進捗状況と今後の対応を説明





厚生労働省(以下、厚労省)は8月27日に開催した社会保障審議会医療保険部会で、電子処方箋の利活用に向けた進捗状況と今後の対応について説明した。厚労省は、電子処方箋の導入による医薬品使用の適正化効果について検証した結果、導入から8~10カ月後に処方箋1枚当たりの投薬日数が統計的に有意に減少していたことなどを報告。一方、医療機関では電子処方箋の導入が薬局に比べて進んでおらず、電子カルテの普及と併せて導入を促進する方針を示した。





薬局での電子処方箋の導入率は9割を超える

電子処方箋の利活用に向けた進捗状況について、厚労省はデジタル庁の「電子処方箋の導入状況に関するダッシュボード」(以下、ダッシュボード)を基に、2026年6月時点での電子処方箋の導入率は41.3%だったと報告した。内訳は、病院20.9%、医科診療所29.5%、歯科診療所10.7%、薬局90.5%だった。医師が発行した電子処方箋、薬局での調剤内容、疑義照会の結果などの情報をクラウド上で一元管理し、医療機関や薬局の間でオンライン共有するための基盤システム「電子処方箋管理サービス」への調剤結果登録割合は月間94.3%で増加傾向にあると報告した。

出典:厚生労働省「【資料4】電子処方箋の進捗状況と今後の対応」第213回社会保障審議会医療保険部会P.1(2026年8月27日)





なお、デジタル庁はその後、ダッシュボードで8月時点の導入状況を公表。それによると、電子処方箋の導入率は42.5%(病院21.4%、医科診療所31.2%、歯科診療所11.5%、薬局91.4%)となり、6月から2カ月で1.2ポイント上昇している。

薬局での電子処方箋の主な利活用として、電子処方箋管理サービスによる重複投薬等チェックが実施されている。処方箋受付後、「調剤予定の薬剤」と「電子処方箋管理サービス上に登録されている直近の処方・調剤情報」と突合し、重複投薬等がないかをチェックする。重複投薬等アラートが検知され、処方箋に疑わしい点があると薬剤師が判断した場合は、疑義照会を行い、必要に応じて薬剤を削除したり、投薬日数を調整したりする。





全ての調剤結果の登録を目指す

電子処方箋に関する新たな目標は、厚労省が2025年7月に策定した「医療DX令和ビジョン2030」(以下、ビジョン2030)に盛り込まれている。ビジョン2030では、さらなる医療安全の確保に向け、電子処方箋については、「速やかに概ねすべての調剤結果を電子処方箋管理サービスに登録することを目指す」と明記。また、患者の医療情報を共有するため、「電子カルテを整備するすべての医療機関への導入を目指す」との目標も掲げている。

また、ビジョン2030では、電子処方箋に関する今後の対応方針もまとめている。その柱は、(1)安全に運用できる仕組み・環境の整備、(2)新たな導入・利用促進策の方針、(3)周知広報の強化、(4)効果検証――である。

出典:厚生労働省「【資料4】電子処方箋の進捗状況と今後の対応」第213回社会保障審議会医療保険部会P.5(2026年8月27日)





厚労省は、このうち(4)の効果検証の一環として、「電子処方箋の導入による医薬品使用の適正化の効果検証」(以下、効果検証)を実施し、その結果を厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会と同医療保険部会で報告した。





電子処方箋導入による医薬品使用の適正化効果を確認

効果検証は、2024年4月時点で電子処方箋が未導入だった薬局において電子処方箋を導入した効果について、差分の差分法を用いて、導入からの経過月ごとの効果量を推定した。

使用したデータは、匿名医療保険等関連情報データベース(NDB)データと電子処方箋の導入状況データで、期間は2024年4月~2025年3月。薬局の月次データを用い、アウトカムには処方箋1枚当たりの投薬日数(日/枚)を設定した。2024年4月~2025年3月に電子処方箋を導入した薬局2万4,049施設を「曝露群」、2025年3月末時点で未導入だった薬局1万3,384施設を「非曝露群」とし、差分の差分法を用いて導入からの経過月ごとの効果量を推定した。

その結果、電子処方箋の導入から約8~10カ月経過した薬局では、有意水準5%で統計的に有意に、処方箋1枚当たり約0.3~0.4日分の投薬日数が減少(※10カ月時点の処方箋1枚当たりの投薬日数の減少量である0.39日は、処方箋1枚当たりの投薬日数の0.79%に相当)した。

出典:厚生労働省「【資料4】電子処方箋の進捗状況と今後の対応」第213回社会保障審議会医療保険部会P.7(2026年8月27日)





この結果について、委員は「今回、電子処方箋の導入によって投薬日数の減少が確認されるなど、医薬品の適正使用につながる効果も示された」と評価。その上で、「こうした効果を引き続き検証し、電子処方箋を導入したことで患者にどのようなメリットがあったのかを、分かりやすく示していただければ、医療現場や国民の理解もさらに進むのではないか」と提言した。





薬剤情報の登録や重複投薬等チェックに課題

厚労省は、同日の社会保障審議会医療保険部会で、電子処方箋管理サービスへの薬剤情報の登録状況、重複投薬等チェックの実施状況についても報告した。

2026年3月以前に電子処方箋の運用を開始した施設のうち、2026年4月の1カ月間において電子処方箋管理サービスへの院外処方箋情報の登録実績がない割合は、▽病院が23.7%、▽医科診療所が41.6%、▽歯科診療所が72.5%、▽調剤結果の登録実績がない薬局が8.5%――だった。また、2026年4月時点で運用を開始している施設のうち、重複投薬等チェックの実績がない割合は、▽病院が27.3%、▽医科診療所が52.5%、▽歯科診療所が73.6%、▽薬局が19.3%――だった。

出典:厚生労働省「【資料4】電子処方箋の進捗状況と今後の対応」第213回社会保障審議会医療保険部会P.8(2026年8月27日)





厚労省は、薬剤情報の登録や重複投薬等チェックを行っていない施設が一定数あることを踏まえ、引き続き、調剤結果等のデータ登録と原則1回以上の重複投薬等チェックを促すとともに、電子処方箋の運用方法について周知を行っていくとしている。

また、厚労省では、医薬品の適正使用に向けて薬局での電子処方箋の利活用をさらに促進する観点から、薬局の開設者に対して、薬剤師による調剤結果の登録や、その環境の整備に関して必要な措置を取ることを遵守事項とするほか、情報提供・指導にあたる薬剤師に重複投薬等チェックの実施を促すとともに、その必要性と電子処方箋の運用方法について分かりやすく周知を行っていく考えを示した。

(2026年8月27日時点の情報に基づき作成)



参考情報
厚生労働省 第213回社会保障審議会医療保険部会

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デジタル庁 電子処方箋の導入状況に関するダッシュボード

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