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統合失調症の社会認知機能、経頭蓋直流刺激で改善

国立精神・神経医療研究センターが研究成果を発表

 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)はこのほど、統合失調症患者の社会復帰に大きく影響する社会認知機能の障害について、左上側頭溝への経頭蓋直流刺激(tDCS)で改善することを、研究グループが世界で初めて確認したと発表した。

 tDCSは、1-2mA程度の微弱な電流を頭皮上から当てる方式のニューロモデュレーションで、麻酔の必要がなく、副作用のリスクが小さい。これまでは、左前頭前野に対する陽極刺激で神経認知機能の改善効果がある一方、社会認知機能への効果は乏しいとされていた。

 NCNP精神保健研究所児童・予防精神医学研究部の住吉太幹部長、病院司法精神診療部の山田悠至医師らの研究グループは、系統的レビューの結果から、左上側頭溝を刺激することで統合失調症患者の社会認知機能障害が軽減されると推定。統合失調症患者に対し、tDCSを1日2回(1回20分)、5日間施行した。

 刺激前と最終刺激の1カ月後に、心の状態推論質問紙(SCSQ)とヒント課題を用いた心の理論(社会認知の主要領域)のスコアを測定し、tDCS施行前後の変化を解析。その結果、左上側頭溝を刺激部位としたtDCSで、心の理論のスコアが有意に改善したという。研究の成果は、科学雑誌「Frontiers in Psychiatry」誌のオンライン版に掲載された。

【執筆提供:株式会社CBホールディングス(CBnews)】
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