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新規後発薬のGMP調査をPMDAに移譲
2024年11月01日 17:04
現在は都道府県 厚科審部会
厚生労働省は10月31日、厚生科学審議会の部会で新たな後発医薬品のGMP適合性調査の主体を現在の都道府県から医薬品医療機器総合機構(PMDA)に委譲する案を示した。製造工程の各区分に対して3年ごとに行う「区分適合性調査」は、現行のまま都道府県を主体にするが、必要に応じてPMDAも実施可能にする。
また、承認取得後に5年ごとに行う定期調査は引き続き都道府県が行う。
後発薬メーカーによる相次ぐ薬機法違反を受け、厚労省は7月、後発薬の新規承認取得時の「GMP適合性調査」と「区分適合性調査」の2つを都道府県からPMDAに権限を委譲する案を厚科審の医薬品医療機器制度部会に示していた。
しかし、都道府県や委員からは、都道府県によるGMP調査体制の弱体化を招くと反対意見が表明された。そのため厚労省は、PMDAに移譲する調査の範囲を必要最小限に絞り込んだ修正案を出した。
修正案では、承認申請時の後発薬のGMP調査はPMDAが行うとしている。「区分適合性調査」については、調査主体を都道府県のまま変更せず、必要に応じてPMDAも実施できるようにする。
中島真弓委員(東京都保健医療局健康安全部薬務課長)は、今回の見直しにより、都道府県によるGMP調査件数が減少し、リーダー調査員の育成などが困難になるところもあるとし、支援の必要性を訴えた。
厚労省はまた、承認取得後に各品目に対して行う定期調査を5年ごとから3年ごとに変更する案も示した。さらに、調査の申請時に提出される初期資料でリスク評価を行い、「低リスク」と評価された場合は調査を不要とする。これにより、品質管理上のリスクが高い製造所に対して高頻度で実地調査を行えるように監視指導の強化を図る。
中島委員は、製薬会社が医薬品の申請を出すタイミングで調査品目がコントロールされるなど不適切な運用を防ぐための工夫が必要だと指摘し、都道府県の意見も踏まえて具体的な運用を整備するよう求めた。
【記事提供:株式会社CBホールディングス(CBnews)】
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