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来年度の薬価改定見送り求める意見相次ぐ

関係団体のヒアリングで

 中央社会保険医療協議会の薬価専門部会は11日、2025年度に予定されている薬価改定に向けて関係団体からヒアリングを行い、物価高騰や円安がサプライチェーンの維持に重大な影響を及ぼしているなどとして改定の見送りを求める意見が相次いだ。

 薬価専門部会では、いわゆる「中間年」の25年度に薬価改定を実施することを前提に、「不採算品再算定」や「最低薬価」などの算定ルールをどこまで適用するかや、改定の対象品目などを検討する。

 それに向けて、この日に行ったヒアリングには日本製薬団体連合会(日薬連)、日本医薬品卸売業連合会(卸連)、日本ジェネリック製薬協会など6団体が参加した。

 日薬連の岡田安史会長はその中で、物価高騰や円安が続いていることや、4日に公表された薬価調査の結果で市場実勢価格との9月現在の乖離率が5.2%(速報値)にとどまったことなどを指摘し、25年度に薬価の改定を実施する状況にはないと主張した。

 また、米国研究製薬工業協会(PhRMA)・在日執行委員会の関口修平副委員長は「仮に来年4月に中間年改定が行われることがあれば、今回(24年度)の薬価制度改革で向上したイノベーションへの投資意欲を大きく毀損しかねない」と述べ、25年度は改定を行わないよう求めた。

 卸連の宮田浩美会長は「医薬品の供給不足の解消に至っておらず、確実な解消の見通しもない。頻回な薬価の引き下げが流通当事者の安定供給の基盤を脆弱化させている」などと指摘し、医薬品の安定供給を確保するため、薬価の中間年改定は「廃止をしていただきたい」と訴えた。

 一方、この日のヒアリングで6団体からは、不採算品再算定などを適用した24年度の薬価制度改革について「日本がイノベーション重視の国に変貌を遂げる始まりに位置付けられた」(日本製薬工業協会)などと評価する声が相次いだ。

 不採算品再算定は、医療上の必要性が高いのに採算を取れない品目の薬価を特例で引き上げる仕組み。医薬品の原材料費の高騰や安定供給に配慮し、23年度の中間年改定から2年連続で特例的に適用された。

 日薬連は、不採算品再算定の適用が製薬企業による
▽製造能力の向上
▽原材料の安定確保
▽品質担保・リスク管理策の強化
-を後押しする一方、薬価収載されてから長期間が経過して不採算になっている品目が多いことを指摘した。

【記事提供:株式会社CBホールディングス(CBnews)】
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