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リフィル推進で「報酬の加減算」主張 財務省

調剤基本料1の範囲縮小も

 財政制度等審議会が23日に開いた財政制度分科会で、財務省はリフィル処方の活用を短期的に強力に推進するため診療報酬での加減算を含む対応を検討するべきだと主張した。また、的確なKPI(成果目標)を早期に設定するとともに、リフィル処方の実績をリアルタイムで確認できる仕組み作りも提言した。

財務省は、高血圧性疾患や糖尿病など生活習慣病の患者数が急増しており、症状が安定して長期間の処方が可能なケースも増加していると考えられると指摘。その上で、特定の慢性疾患などで、継続的な状況確認が必要な場合でも薬剤師との連携によりリフィル処方が活用されるよう、診療報酬上の加減算も含めた措置の検討を求めた。

 それにより、通院の負担を軽減させて患者の利便性を向上させるほか、長期処方に関する医師の不安の解消にもつながるとしている。

 リフィル処方は、医師や薬剤師の適切な連携の下で、症状が安定している患者に対し一定期間内に最大3回まで反復利用できる処方箋による処方。2024年度の診療報酬改定では、「かかりつけ医機能」の評価である地域包括診療料などの要件に、リフィル処方や長期処方への対応が可能であることの院内掲示が加わった。また、特定疾患処方管理加算は28日未満の処方を行った際の加算1を廃止し、28日以上の処方のみで算定可能とするとともに、リフィル処方を行った場合も算定できるように見直した。

 ただ、厚生労働省の集計では24年7月診療分の全処方箋数(7,317万6,800枚)のうちリフィル処方箋は5万1,048枚と0.07%にとどまっている。

 23日の分科会で財務省は、経営の実態を踏まえながら処方箋の集中率が高い薬局などで調剤基本料1の適用範囲を縮小することも提言した。調剤基本料について、「薬局運営を維持するために必要なコストを、処方箋の集中率と受付回数の側面を含めた効率性の観点から、経営の実態を踏まえて評価したもの」と説明。その上で、処方箋の集中率が高い薬局は備蓄している医薬品の品目数が少ない傾向にあり、集中率の低い薬局よりも備蓄に関しては低コストだと指摘した。

 20-24年度の診療報酬改定でも集中率に応じた見直しが行われてきたが、「さらなる適正化の余地がある」という見解を示している。

■地域フォーミュラリ推進、基金などで支援を

 財務省はまた、地域の医療機関や薬局などが共同で作成する地域フォーミュラリ(採用医薬品の推奨リスト)を強力に推進するため、医療保険制度での保険者インセンティブ制度の活用や医療介護総合確保基金による支援などを行う必要性も訴えた。

 地域フォーミュラリの推進は患者本人や医療保険者、医療機関、薬局などにもメリットが大きいが、その取り組み事例は一部の地域に留まっていると指摘。政策的にも後発医薬品の使用促進の文脈で触れられている程度であり、「推進力は不十分」だとして普及・促進策の早急な実施を求めている。

【記事提供:株式会社CBホールディングス(CBnews)】
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