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アトピー治療の個人最適化へ遺伝子に着目
医療・看護
2025年06月04日 13:18
慶大・理化学研グループ
慶応大医学部皮膚科学教室と理化学研究所生命医科学研究センターの共同研究グループは3日、アトピー性皮膚炎について皮膚の遺伝子の状態に着目した研究結果を明らかにした。バイオマーカーという特有の遺伝子の働きのサインから症状を読み取ることで、患者個人に合った治療を今後期待できるという。
患者156人から1ミリの皮膚組織の951検体を採取。RNAシークエンスという、細胞内でどの遺伝子がどの程度働いているかを解析する手法で、遺伝子の発現パターンを解析した。その結果、29個の遺伝子群を見つけ、アレルギーや細菌・真菌、ウイルスへの免疫反応といった症状を起こす従来の遺伝子群だけでない、新規の遺伝子群も含まれており、発生のメカニズムの理解を深めるのに役立つという。
赤みや皮膚の盛り上がりといった症状と、特有の遺伝子群の関係も確認。例えば、赤みはアレルギーに関わる2型炎症や、細菌・真菌に反応する17型炎症と関係が深い。
また、アレルギー反応を抑える治療薬のデュピルマブへの治療反応を患者24人に実施。2型炎症の皮膚遺伝子発現量は速やかに抑制されたが、17型炎症には効果が低かった。
研究グループでは、症状ごとの遺伝子群の固定や、バイオマーカーの抽出が患者の特性に合った個別化医療の実現に貢献できるとし、診療選択の支援にもつながるとしている。
【記事提供:株式会社CBホールディングス(CBnews)】
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