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慢性腎臓病の進行に「CCL5」が相反する役割
医療・看護
2025年10月08日 19:20
保護的にも炎症悪化にも 千葉大発表
千葉大学は7日、同大大学院医学研究院の淺沼克彦教授らの研究グループが、免疫細胞を誘導するケモカインの一種である「CCL5」が、慢性腎臓病に対し相反する役割を持つことを発見したと発表した。
慢性腎臓病では、血液から老廃物をろ過する「糸球体」が損傷し、蛋白尿が生じる。糸球体には血中の蛋白質が尿中に漏れないようにする「糸球体足細胞(ポドサイト)」があり、糸球体が傷つくことでこのポドサイトも障害され、腎機能の低下が進行するとされる。
研究グループは、培養ポドサイトを用いた実験により、CCL5には腎障害時にポドサイトの障害を軽減する働きがあることを確認。一方、マウスを用いた実験では、CCL5が組織修復に働く抗炎症性マクロファージよりも炎症を引き起こす炎症性マクロファージを増やすことで、腎障害を悪化させることが分かった。
これらの結果から研究グループは、慢性腎臓病の進行に関して、CCL5がポドサイトに対しては保護的に作用し、腎臓のマクロファージに対しては炎症を悪化させるように働くことが明らかになったとした。
今後、個々の細胞に対するCCL5の作用を詳細に解明することで、慢性腎臓病の新たな治療薬の発見につながる可能性があると展望している。
【記事提供:株式会社CBホールディングス(CBnews)】
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