国内医療・薬事情報
薬局の在宅業務、タスクシフトで体制強化へ
2026年03月18日 14:05
「地域医療連携の手引き」改訂 日本保険薬局協会
急増する在宅医療ニーズへの対応に向け、日本保険薬局協会は、薬局での調剤補助や配送準備のタスクシフト、医療DXの活用による生産性向上の推進など、3つの方向性を明示した「地域医療連携の手引き(薬局版)」(Ver.4)を公表した。在宅業務は、外来業務の約8倍の時間がかかるとされ、構造的課題への対応を急ぐ必要性を強調している。
改訂版では、在宅医療の現場が抱える課題として、薬剤師の業務負担の大きさを具体的に示した。日本総合研究所が 2025 年に実施した調査によると、個人宅1件当たりの在宅業務にかかる時間は平均約98分で、外来の処方箋対応約12分の約8倍に上る。
限られた人員の中で、夜間・休日対応やターミナルケアを含む高度な薬学管理を担う現状は、個々の薬局の努力だけでは限界に近づいていると指摘。地域全体での連携強化が不可欠だとした。
こうした状況を踏まえ、まず打ち出したのが、薬局内の体制強化とタスクシフトの推進だ。調剤補助や配送準備などの業務を非薬剤師スタッフに移管し、薬剤師が服薬指導や多職種連携といった専門業務に専念できる環境整備を求めている。
次に、医療DXの活用による生産性向上を掲げた。電子処方箋や医療介護連携システムの導入により、医療機関や介護職種との情報共有の効率化を図るとともに、調剤機器やAIの活用によって業務効率と質の向上の両立を目指す必要があるとした。合わせて、医療情報の安全管理やサイバーセキュリティー対策の重要性にも言及している。
さらに、地域全体で機能を補完し合う「面的な連携」の構築も柱に据えた。無菌調剤や24時間対応、小児在宅などの高度機能については、単独の薬局で担うのではなく、地域連携薬局や専門医療機関連携薬局を軸に役割分担を進めることで、持続可能な在宅医療提供体制の確立を目指す。
このほか、外来や入退院時の情報連携では、お薬手帳や薬剤管理サマリー、服薬情報提供書(トレーシングレポート)などを活用したシームレスな情報共有の重要性を整理。薬剤師が地域の「ゲートキーパー」として、健康相談会や測定会などを通じた能動的な啓発活動を担うとともに、多職種と連携しながら患者中心の薬物療法を支える役割を一層強化すべきだとした。
高齢化がピークを迎える40年を見据え、日本保険薬局協会は、構造的課題への踏み込んだ対応と能動的な実践の強化を目的に、約2年4カ月ぶりに手引きを改訂した。
【記事提供:株式会社CBホールディングス(CBnews)】
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