1. TOP
  2. 国内医療・薬事情報
  3. 妊婦への炭酸リチウム、「積極的処方は推奨しない」

妊婦への炭酸リチウム、「積極的処方は推奨しない」

禁忌解除で6学会が共同声明

 双極性障害の治療に用いる炭酸リチウムの妊婦への禁忌が解除されたことについて、日本精神神経学会など関係6学会は29日、「妊婦への積極的な処方を推奨するものではない」として、適正使用を呼びかける共同声明を出した。

 共同声明では、禁忌解除の目的を、炭酸リチウムを服用中の患者が妊娠した場合に、治療継続の可否を個別に判断できるようにすることだとし、広く妊娠中の女性に処方することを否定した。

 妊娠初期には先天性心疾患など催奇形性リスクが報告されていることから、日本うつ病学会の診療ガイドラインでも、ほかの治療薬が有効でない場合を除き、妊娠中は使用しないことを弱く推奨している。

 一方、炭酸リチウムは双極性障害の再発予防や自殺リスクの低減に重要な役割を果たす薬剤であり、治療を中断すると妊娠中や産後に再発リスクが高まる患者も少なくない。

 こうした状況を踏まえ、国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」は、最新の疫学研究や海外での運用状況を検討した結果、適切な管理体制の下であれば妊婦への投与は可能と評価。これを受け、厚生労働省は6月、添付文書の禁忌から「妊婦または妊娠している可能性のある女性」を削除した。

 医薬品の安全性を評価する医薬品医療機器総合機構(PMDA)も、先天性心奇形のリスク上昇を示す研究と否定的な研究が混在し、リスクを完全には否定できないものの、治療継続による利益も大きいと判断。禁忌解除後も添付文書には「治療上やむを得ない場合を除き投与しない」との注意書きを新たに設け、精神科と産科・新生児科が連携し、血中リチウム濃度を適切に管理できる体制で慎重に投与するよう求めている。

 共同声明は、日本精神神経学会、日本うつ病学会、日本神経精神薬理学会、日本臨床精神神経薬理学会、日本総合病院精神医学会、日本周産期メンタルヘルス学会の6学会が連名で発表した。

【記事提供:株式会社CBヘルスケア(CBnews)】
※コンテンツの⼀部または全部を複製、公衆送信、翻案する⾏為を禁じます