1. TOP
  2. 国内医療・薬事情報
  3. 診療報酬の施設基準届け出簡素化へ、厚労省方針

診療報酬の施設基準届け出簡素化へ、厚労省方針

研修の受講証など提出不要に

 診療報酬の施設基準の届け出手続きが保険医療機関の負担となっているとして、厚生労働省は、研修の受講証や病室の平面図の添付を廃止するなど2024年度の診療報酬改定でルールを簡素化する。

 また、診療報酬明細書(レセプト)の摘要欄への記載も簡素化する。

 例えば「乳幼児加算」を月の途中から算定しなくなった場合、医療機関は現在、「月の途中まで乳幼児」と摘要欄に理由を記載する必要があるが、24年度に廃止する。レセプトに記載されている患者の生年月日の情報で確認できるため。

 厚労省が8日、中央社会保険医療協議会にそれらの見直し案を示し、反対意見はなかった。

 医療機関や薬局に提出が求められる診療報酬の施設基準は医科・歯科・調剤を合わせて約800、それらの届け出に使う様式は約500あり、新たな医療技術が保険適用になるたびに増える。

 さらに、研修の受講証や病棟・病室の平面図など、届け出様式以外に書類の添付が必要な施設基準もあり、厚労省はこの日、届け出の手続きが現場の負担になっていると指摘した。

 そのため簡素化できるものは提出不要にして、地方厚生局が適時調査で事後確認するなどの対応に切り替える。

 医療機関や薬局の業務を効率化させるため、国はこれまでも診療報酬の施設基準の届け出を簡素化してきた。

 「診療報酬改定DX」の一環で、政府は施設基準の届け出の電子申請を24年度から促す方針で、それに対応するためルールの明確化・簡素化を引き続き進める。厚労省によると、届け出が必要な約800の施設基準のうち、医科・歯科・調剤を合わせて計784は電子申請に対応できていない。

 長島公之委員(日本医師会常任理事)は「施設基準の届け出を受理されなければ診療報酬を算定できないので、現場では非常に気を遣う。そのため、オンラインではなく敢えて郵送しているケースもある」として、電子申請を一気に義務化するのではなく、現場の実態を把握しながら少しずつ進めるよう求めた。

 森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、施設基準の電子申請について、「明らかなシステムトラブルや回線トラブル等により届け出ができなかった場合は、柔軟な対応をお願いしたい」と述べた。

 森委員はまた、デジタルに不慣れな高齢の経営者らを想定して、紙での届け出の存続も求めた。

【執筆提供:株式会社CBホールディングス(CBnews)】
※コンテンツの⼀部または全部を複製、公衆送信、翻案する⾏為を禁じます