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敷地内薬局持つグループ全体の評価⾒送りへ

24年度報酬改定、次回以降の検討課題に

 厚⽣労働省は、いわゆる敷地内薬局を保有するグループ薬局全体として評価する仕組みの導⼊を2024年度の診療報酬改定で⾒送る。1⽉31⽇の中央社会保険医療協議会・総会で⽰した24年度改定に向けた答申書附帯意⾒の素案に「引き続き検討する」とし、26年度以降の報酬改定での検討課題に据えた。

 医療機関の敷地の中にある敷地内薬局を巡っては、中医協でもこれまで、「地域包括ケアシステムを整備する国の⽅針に逆⾏する」などと批判が出ていたほか、引き締めの強化を求める声が上がっていた。

 対応案として敷地内薬局を保有する開設者(グループ)全体の調剤基本料を⼀律に引き下げることを、厚労省が23年11⽉の中医協・総会で提⽰。⽀払側・診療側の双⽅の委員がこれを⽀持し、誘致する医療機関と開設する薬局へのさらなる強い対応が必要だとの意⾒が出た。

 しかし、今回の附帯意⾒の素案に、厚労省は敷地内薬局について同⼀敷地内の医療機関との関係性や収益構造なども踏まえ、保有するグループとしての評価の在り⽅を「引き続き検討する」と明記。来週にも了承される⾒通し。

 この附帯意⾒に記載されている各項⽬の内容は、26年度以降の診療報酬改定に向けた「宿題事項」となる。

■敷地内薬局の現状

 16年に薬局の構造設備規制が⾒直され、敷地内薬局の開設が可能となった。⾒直しにより、医療機関と薬局との間にフェンスなどを設ける必要がなくなったことから、公道に⾯していない医療機関の敷地内に薬局を開設することができるようになった。

 敷地内薬局の開設者は300店舗以上のグループによる場合が多く、⼀部のグループに偏って開設されている。また、誘致する医療機関側も公募の際に敷地内薬局の運営実績を求めることがあり、開設できる法⼈が限られるといった事例もある。

 構造設備規制の⾒直し後も、医療機関と薬局の構造上の独⽴性を確保することが引き続き求められているが、医療機関の建物に関係する場所に薬局が開設されることで、⼀体的な構造と認識されてもおかしくない状況になっている。こうした状況が今後さらに進むと、医療機関と薬局との間の独⽴した関係性に影響を与えかねない。

 直近の医療経済実態調査によると、敷地内薬局の利益率は22年度の報酬改定を経ても増加しており、利益額は⾼い傾向がある。また、特別調剤基本料を算定している薬局では、費⽤のうち「医薬品等費」の額が他の基本料を算定している薬局よりも突出して⾼いことが分かっている。

 また、敷地内薬局は医療機関の敷地にあるにもかかわらず、その医療機関から連携先と認識されていない薬局が多いほか、退院患者に対して、敷地内薬局が利⽤先とは考えられていない傾向がある。

 こうした実態を踏まえ、厚労省は26年度以降の診療報酬改定に向け対応策を検討する。

【執筆提供:株式会社CBホールディングス(CBnews)】
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