1. TOP
  2. 国内医療・薬事情報
  3. 飲酒1日20グラム以上継続、大腸がん発症リスク

飲酒1日20グラム以上継続、大腸がん発症リスク

高血圧では少量でも 初の飲酒ガイドライン

 飲酒に伴うリスクに関する知識の普及を推進するため、厚生労働省は19日、飲酒に関する初のガイドライン(GL)を公表した。国内での疾患別の発症リスクを例示しており、大腸がんでは1日に20グラム(週150グラム)程度以上の量の飲酒を続けた場合や、高血圧、男性の食道がん、女性の出血性脳卒中では少量でも発症リスクが高まる可能性があると指摘している。

 GLは、アルコールに関する問題への関心と理解を深め、不適切な飲酒を減らすために活用してもらうのが狙い。

 それによると、高齢者は若い時と比べて、体内の水分量の減少などで同じ量のアルコールでも酔いやすくなり、飲酒量が一定量を超えると認知症の発症の可能性が高まる。また、飲酒に伴う転倒や骨折、筋肉の減少といったリスクが高まる。

 脳の発達の途中である20歳代の若年者も、多量の飲酒によって脳の機能が落ちるとのデータがあるほか、高血圧などの健康問題のリスクが高まる可能性もある。

 また、女性は一般的に男性と比べて体内の水分量が少なく、分解できるアルコール量も男性に比べて少ないことや、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの働きによってアルコールの影響を受けやすいことが知られている。そのため、女性は男性よりも少ない量、かつ短い期間での飲酒でアルコール関連肝硬変になる恐れがある。

■健康に配慮した飲酒の仕方も例示

 体質によっても影響が異なり、アルコールを分解する体内の分解酵素の働きが弱い人は飲酒により顔が赤くなったり、動悸や吐き気がする状態になったりすることがあり、そのような人が長年飲酒した場合、アルコールを原因とする口腔内や食道のがんなどのリスクが非常に高くなるといったデータがある。

 健康に配慮した飲酒の仕方は、▽自らの飲酒状況を把握する▽あらかじめ量を決めて飲酒をする▽飲酒前または飲酒中に食事を取る▽飲酒の合間に水や炭酸水を飲むなど、アルコールをゆっくり分解・吸収できるようにする▽1週間のうち、飲酒をしない日を設ける-など。

 一方、短時間の多量飲酒や他人への飲酒の強要、不安や不眠を解消するための飲酒、療養中の飲酒や服薬後の飲酒は避けるべき行為とし、注意を促している。

【執筆提供:株式会社CBホールディングス(CBnews)】
※コンテンツの⼀部または全部を複製、公衆送信、翻案する⾏為を禁じます