1. TOP
  2. 国内医療・薬事情報
  3. ポリファーマシー対策で手順書提示

ポリファーマシー対策で手順書提示

日病薬、多職種連携の重要性を強調

 日本病院薬剤師会(日病薬)は、「ポリファーマシー対策の進め方」を見直すとともに、関連の手順書を公表した。医師や薬剤師、看護師のほか、必要に応じてリハビリ専門職といった多職種が連携し、患者の状態に合わせた対策を行う重要性を強調している。

 ポリファーマシーは、多剤投与のうち、有害事象の発生リスクの増加や服薬アドヒアランスの低下、服薬過誤などにつながる状態のこと。複数の疾患を抱え、多剤投与になりやすい高齢者への対策が特に求められている。

 手順書には、▽情報の収集と共有▽処方内容の見直しの検討と評価▽見直し後の観察と再評価▽退院時の情報連携-の方法を記載している。

 具体的には、医師や薬剤師は必要に応じて診療情報提供書やお薬手帳、薬剤管理サマリーなどを参照し、患者の服用薬を確認する。また、関連のガイドラインも踏まえて特に慎重な投与を要する薬剤の確認を行う。

 さらに、服薬状況や薬物関連の有害事象、減薬の意向を患者や家族らに確認し、必要に応じて他の医療機関や薬局と連携して薬物療法に係る情報を集める。

■有害事象のリスク、多職種で共有を

 医師は、薬剤師や看護師らと連携して処方内容を総合的に評価する。その後、生活習慣の改善やケアの工夫といった「非薬物療法」を考慮した上で、▽適切な用量への変更▽有害事象との因果関係が疑われる薬剤の中止▽より有効性・安全性の高い代替薬への変更-などを検討。多職種間で薬物療法での有害事象のリスクを共有する。

 処方内容の見直しが必要な場合、医師や薬剤師は処方内容の変更や中止の理由や注意すべき点を患者や家族らに説明。処方の変更の内容や理由、見直し後の経過を診療録等に記載し、留意事項を多職種で共有する。

 処方内容の見直し後は、医師らが日常診療や服薬指導などを通じて患者の病状の変化や新たな有害事象の有無を確認し、それを多職種で共有。必要に応じて処方内容の再評価を行う。

 多剤服用への対応を巡っては、日病薬が「ポリファーマシー対策の進め方」を2023年9月に公表した。

 24年度の診療報酬改定では、薬剤総合評価調整加算について多職種による薬物療法の総合的評価や情報共有・連携ができる機会を活用して薬剤調整が実施できるよう要件が見直される。加えて、ポリファーマシー対策に関する手順書を作成した上で院内に周知し、活用することも要件化される。

 それに先立って日病薬は「対策の進め方」の一部を見直し、手順書を公表した。各医療機関で取り組む際の参考にしてもらいたい考えだ。

【執筆提供:株式会社CBホールディングス(CBnews)】
※コンテンツの⼀部または全部を複製、公衆送信、翻案する⾏為を禁じます