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後発薬メーカー184社、4月から自主点検実施へ

期間内に実施率100%目指す、日薬連

 日本製薬団体連合会は厚生労働省からの要請を受け、後発薬メーカー184社、薬価基準に収載されている全ての後発薬(9,341品目)を対象に承認書と製造実態に乖離がないかを調査する新たな自主点検を実施すると、15日の関係者会議で報告した。自主点検の実施期間は4-10月とし、期間内に実施率100%を目指す。

製造方法についての自主点検では、ラインごとに承認書と製品標準書、製造記録書との比較を行い、統一のフローチャートに基づき相違や食い違い、逸脱がないかの判断を行う。

 承認書の「規格及び試験方法欄」や「別紙規格欄」については、業界標準となる点検フローチャートの作成を検討しており、当該欄に記載の内容と製品標準書、試験手順書、試験記録書との比較、整合を確認することに留意する。

 また、製造業者の製造・試験担当者に対し第三者や監査能力のある人がヒアリングを実施し、手順書からの逸脱が恒常的に行われていないかなどの確認を行う。自主点検期間の終了となる10月末までに製造がない品目に関しては、いったんヒアリングを実施し、次回製造時に必ず実施するよう通知するとした。

 日本医師会常任理事の宮川政昭氏は、後発薬の製造を巡る一連の不適切事案と今回の自主点検実施の報告を受けて「責任者が見えてこない」と指摘。点検内容を鑑みても「責任の所在があいまい」だと苦言を呈した。

 これに対し、厚労省の担当者は「薬機法の制度の中で考えた場合には製造販売業者に責任があると言える」とし、製造に関して不備があるのであれば製造販売業者が責任をもって行政に相談し、薬務上の必要な措置を講じるべきだとしたと述べた。一方で、「日薬連の責任は非常に重い」とし、今回の自主点検を円滑に進める必要があるとの考えも示した。

 宮川氏は、医療現場では医薬品の供給が滞る事態が続いており、これまでにもたびたび問題提起されているにもかかわらず改善されない状況が長期にわたっていることに触れ、「今回の自主点検により何が問題だったのかを明らかにし、今後同じことが繰り返されないようにどう対策をしていくか、日薬連として説明する必要がある」と強調した。

 日本精神科病院協会副会長の平川淳一氏は、「今回の件は薬価の問題から発生しているようにも思える」とし、不採算品目が多いことは製薬会社に重くのしかかることから「最終的には国にも責任があるため、先ほどの回答では国には全く責任がないと捉えている印象を受け、残念に思った」とコメント。現場としては、いつになったら元のように安定供給されるのかが切実な問題であるため、「今後はその点にも言及してほしい」と要望した。

【執筆提供:株式会社CBホールディングス(CBnews)】
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